ゴシック・メタルの基本25枚
 DAWN BREAKERブラックメタル・基本中の基本25枚に思いっきり影響受けました(笑)。なので、コンセプトも一緒です。これを聴かないでゴシック・メタル・ファンを名乗るなかれ。ゴシック・メタルを一人で隠って聴いている分には、一般的な名盤とか基本なバンドを必ず聴く必要もないと思うけども。でも、他の人とゴシック・メタルについて語ろうと思ったら、その基本のバンドを聴いていないとお話になりませんよ。聴いていないと恥ずかしいですよ。フォロワー・バンドを聴いて、熱く語るのもいいけど、基本聴いてないとまるで説得力ないですよ。というものです。…うわー、とても偉そうで私には荷が重い気もするのですが頑張ります。ゴシック・メタル初心者の方の買う指針にもなればいいと思ってます。また上級者に至っては、これが入っていないのはおかしい!とか厳しいツッコミも入れてもらえると嬉しいです。コメントも適切なものに変えていくと思います。Special Thanks To Atch

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THE 3RD AND THE MORTAL SORROW 1994年、HEAD NOT FOUNDよりリリース。ノルウェー出身。女性Vo、Kariを擁するバンドのデビュー4曲入りミニ。彼女のトラッドを歌うVoスタイルの素晴らしさにつきる。加えてルックスも素晴らしい。優しさに満ちあふれたVoは神の声とも称されている。ゴシック・メタルのVoスタイルとしても基本である。楽曲も普通ではなく、混沌としていて、危機感がある。プログレ的でもある…プログレ・ファンにも評判がよかったし、このアルバムがきっかけでプログレ・ファンもゴシック・メタルを聴くようになったように思う。1stフルレンス『TEARS LAID IN EARTH』もお薦めだが、後半はちょっとだれる。なお、2nd以降は女性Voが交替し、楽曲はますますアヴァンギャルドになっていく。Kariはソロに転向。純トラッド・アルバムもリリースしている。
ANATHEMA THE SILENT ENIGMA 1995年、PEACEVILLEよりリリース。2ndフルレンス。おそらくここで紹介する25枚の中で、最も暗くて遅くて重い音のアルバム。個人的には衝撃を受けた1stEP『THE CRESTFALLEN EP』と本作とかで迷ったのですが、トータルとしてはフル・アルバムでこの混沌とした音空間を緊張感とだらだら感という相反するものを伴いつつ保っている本作をセレクト。こんなに暗い音楽を楽しむことが出来るのはゴシック・メタル・ファンの特権に他ならない。凄いことにボーナス・トラック入りで日本盤が出ていたりします。今の状況からは考えられないことですね。"Restless Oblivion"と"A Dying Wish"が特に名曲。だらだらとした音楽がいかに素晴らしいかを教えてくれる。美しさを求めるのならばVo交替を機にデス声を捨てた『ETERNITY』ってのもセレクトの対象になるのですが、やっぱりこのバンドは初期があるからこそ、中期『ETERNITY』『ALTERNATIVE 4』もそして『A FINE DAY TO EXIT』以降のプログレ化したのも意味あるし、初期があるからこそ、私は聴いている。デス・メタルからプログレへの音楽的変化の過程も実に興味深いし、確認する意味でも全アルバム聴くことをお薦めしたい。
DARK REALITY BLOSSOM OF MOURNING 1995年にSPVからリリース。スイス出身のリコーダー入りゴシック・メタル・バンドの2ndフルレンス。今でこそ、笛が入るゴシック・メタルも珍しくなくなってきたが、この時代にリコーダー奏者がいて、大胆にもアルバム全編で奏でられているのは凄いです。私が知る限り、このバンドが初めてやったことではないでしょうか。もちろんプログレなどの他のジャンルでは既存なんですけども。そしてフルートではなくて、リコーダーというのが素敵です。おそらく日本人の多くが慣れ親しんだ楽器ではないでしょうか。哀愁漂うリコーダーのメロディに、きっと幼い日々の思い出が蘇ってくることでしょう。ま、ここで使われているのは、我々が使ったのよりも大きい?アルト・リコーダーのようですが。さて主役はあくまでもリコーダーで、他にはクラリネットのような笛?とかアコギなども使われてます。ドラムはマシーン。がなるようなデス声と透明感ある男性普通声で歌われています。歌詞はドイツ語でしょうか? 楽器の音色以外には、民族音楽色がそんなに濃くもなく、デス・メタルっぽさも程よく残っています。曲によっては非常に繊細なメロディなどもあり。日本盤もリリースされてます。邦題は『哀悼の花』。
なお1stミニ『UMBRA CINERIS』はデス・メタルなアルバム。1曲だけリコーダー全開な曲もあり。'97年リリースの3rd『OH PRECIOUS HAZE PERVADE THE PAIN』は暗黒っぽさがなくなり、すっかりプログレになってしまっていて、正直つまらないです。その後のバンドの消息は分かりません…。
ELEND LES TENEBRES DU DEHORS 1996年にHOLY RECORDSからリリースされた2nd。フランス/オーストリアの3人組。ゴシック・メタルを聴いていると、必然的にヘヴィ・メタルじゃない音楽も聴けてしまう…というのがこのバンド。ギターもドラムもなし。なのでメタルっぽくはありません。シンセがメインの美しく神聖的な宗教音楽のようなサウンドをバックにして、天空舞うようなソプラノ女性Voが歌い、男性Voが悲痛に苦しむかのように叫んでいます。美しさと狂気性が同居していて、美しさにうっとりしていると、次の瞬間には衝撃と共に恐怖に支配されてしまう。日本盤もリリースされました。邦題は『闇の使者』。なお、'01年にリマスター盤がリリースされています。ジャケは赤に変更され、ボーナス・トラックも1曲追加されてます。1st『LECNS DE TENEBRES』, 4th『THE UMBERSUN』もお薦め。5th『WINDS DEVOURING MEN』以降は男性普通声Voがメインとなり、音楽性も若干変わってしまいました。私は初期ほど好きじゃありません。また同系のバンドもいろいろ出てきましたが、とりあえずはARCANAは聴いておきたいところ。
THE GATHERING MANDYLION 1995年、CENTURY MEDIAよりリリース。オランダ出身。それまでは男性デス声だったのですが、女性Vo・Annkeが加入しての1作目になる3rd。Annkeの表情たっぷりに歌い上げるVoスタイルが素晴らしい。楽曲もありがちなドゥーム・ゴシックな地味なスタイルから、一気に優雅でいいメロディ、このバンドならではのスタイルへと変わった。アルバム中名曲ばっかり。Annkeフォロワー、THE GATHERINGフォロワーも多数出現している。その中でも出世頭はLACUNA COILであろうか。4th『NIGHTTIME BIRDS』も同じ路線でお薦め。それ以降はデジタル化したり、トリップ・ホップ?化したり。でもAnnekeの素晴らしさには変わりなし。欧州ではお嫁さんにしたいアーティストNo.1に選ばれたこともあるとか。
IN THE WOODS... HEart Of The Ages 1995年にMISANTHORYからリリースされた1st。ノルウェー出身の。本作リリース前はブラック・メタルをやっていたバンドで、その時代の音は'93年〜'96年までのデモ音源をまとめた『A RETURN TO THE ISLE OF MEN』で聴くことが出来る。本作はブラック・メタルとプログレッシヴ・ロックの境界線上にあるようなサウンドをやっており、それが結果としてゴシック・メタルとして認知されている。プログレな美しいサウンドが広がっていくかと思えば、疾走と共にアグレッシヴな音像と変わり、そして狂気に満ち溢れたVoが叫びまくる。今度はブラック・メタル的な叙情的美しさが伴ってくれる。そんなオープニングの"Yearning The Seeds Of A New Dimension"は12分に及ぶ大作にして名曲。女性Voが歌う曲も1曲だけあり。
2nd『OMNIO』以降はブラック・メタル色が薄れ、Voも普通声になり、プログレッシヴ色が濃くなっていきます。そのサウンドはアバンギャルドでもあり、OPETHとはまた違ったプログレッシヴなゴシック・メタルを聴くことが出来ます。またKING CRIMSONの"Epitaph"をカヴァーをしてルーツも分かりやすく明らかにしてます。
KATATONIA LAST FAIR DEAL GONE DOWN 2001年、PEACEVILLEよりリリースの5th。
1993年リリースの1st『DANCE OF DECEMBER SOULS』はブラック・メタルの基本25枚にもあげられていて、ゴシック・メタルとして聴いた場合でも、暗く重苦しくも美しいメロディが溢れていて名盤!である。
しかし、ここでは敢えて3rd『DISCOURAGED ONES』以降で音楽性をがらりと変えてからセレクトしてみた。実際のところ、3rd以降の音楽性の方がフォロワーを多く産んでいるように思う。初期が暗いサウンドでデス声だったのに対して、一聴では爽やかなメロディで普通声で歌い上げるサウンド。ゴシック・メタルの王道からは外れるのかも。しかし本質は陰湿なメロディを常に抱えている。本作は3rd以降の中でも一番歌メロが熱い! 暗い音楽性なりに情熱的である。シングル・カットされた"Teargas"と"Tonight's Music"が特に名曲。
LACRIMOSA ELODIA  スイスのゴシック・メタル・デュオの'99年リリースの6th。彼ら自身のレーベルHALL OF SERMONから。フォロワーの出現を許さないほどに、個性を確立しています。元々はVoのTiloのソロ・プロジェクトとしてスタートしたわけですが、そのときの音楽性はゴシック・ロックやダーク・ウェイヴといった音楽性でした。4th『INFERNO』からは元TWO WITCHESのAnne嬢(Vo)が加入し、音楽性もよりメタルっぽく、そしてシンフォニックに。そして本作は生のオーケストラを導入してしまったのです。より大仰に、彼ら独特の音楽世界が表現されています。シングル・カットされた"Alleine Zu Zweit"は、ゴシック・メタル版"別れても好きな人"…デュエットによる、演歌のようなくさい見事な歌メロにしびれまくれます。特に後半のお二人の熱唱にくらくらきちゃいますよ。"共にあり、なお1人"という邦題が付けられています。このバンドの特徴の一つとしては、TiloのVoスタイル。はっきり言って、へろへろで、決して上手くはないものの、とてもいい味のある歌を聴かせてくれる。いや、上手い下手じゃなくて、個性なんです!
MY DYING BRIDE TURN LOOSE THE SWANS 1993年、PEACEVILLEよりリリース。イギリス出身。2nd。ANATHEMA, PARADISE LOSTと並べて、初期ゴシック・メタルを語る上では外せない重要バンド。1st『AS THE FLOWER WITHERS』ではまだデス・メタルな部分が残っていたが、本作においてアバンギャルドなヴァイオリン入りゴシック・メタルを確立させている。遅く暗くは当たり前で、現CRADLE OF FILTHのMartin Powellによるピアノやヴァイオリンを大胆に配置。特にヴァイオリンは重要ポイント(余談であるが、"For You"のVideo Clipでは革ジャン姿でヴァイオリンをプレイする…という一見異様な光景だが、これがまた異常にかっこいい)。VoのAaronの歌唱も見事。デス声だけでなく、艶っぽい低い普通声で気怠く歌ってくれる。それにしてもこんなにも暗く気怠い音楽を楽しめるのは、ゴシック・メタラーの特権である。3rd『THE ANGEL AND THE DARK RIVER』と4th『LIKE GODS OF THE SUN』は本作よりも、もっと分かりやすく曲になってきているが、それぞれ"Cry of Mankind"と"For You"という名曲もあり、お薦め。
ORPHANED LAND EL NORRA ALILA 1996年、HOLY RECORDSからリリース。イスラエル出身。
今でこそ、辺境国のゴシック・メタル・バンドは少なくないが、この時代にイスラエルという国から、これだけのバンドが出現したのは大いなる驚きであった。中近東メロディを大体に使い、シタールなどの中近東の楽器、もろに中近東の妖しいトラッド・ソングをも盛り込んだ本作は、超個性的なゴシック・メタルを展開している。そしてデス声と、妖しい歌メロの普通声を歌い分けているのも素晴らしい。ブラック/デス・メタル要素もあることで、ゴシック・メタルらしいスタイルではないところも個性を強めている。1st『SAHARA』は2ndと同じ路線でありお奨め。そして2ndから8年ぶりにリリースされた、3rd『MABOOL』は暗黒色が薄まり、プログレ色が強くなっているが、その中近東スピリットは失っていない。
PARADISE LOST DRACONIAN TIMES 1995年、MUSIC FOR NATIONよりリリース。イギリス出身。5thにして出世作。このアルバムのリリースに伴い来日公演も実現させた…お客さんは少なかったけど; 初期はデス声で、アバンギャルドな遅いデス・メタルなスタイルだったが、ここではキャッチーで覚えやすい歌メロ、のりのりの曲多い目です。ゴシック・ロック・バンドTHE SISTERS OF MERCYのメタル版であるとも言えるかも…ボーナス・トラックでは元ネタを明かすかのようにSISTERSのカヴァーもやってます。2nd『GOTHIC』はゴシック・メタルというカテゴライズのネーミングのきっかけにもなったようです。当然お薦めです。3rd『SHADES OF GOD』、4th『ICON』も合わせて聴かないとお話になりません。フォロワー・バンドも多数出現しています。6th『ONE SECOND』以降はデジタル化、ニュー・ウェイヴ化して、脱メタルにより、大半?のファンを悲しませているが、一方ではこの変化も、他のフォロワーやゴシック・メタル・シーンに影響を与えまくっている。要は全アルバム聴くべきです。
SEPTIC FLESH A FALLEN TEMPLE ギリシャ出身。'98年リリース
HOLY RECORDSからリリースされた4th。ELEND, ORPHANED LANDらと並び、初期HOLY RECORDSを個性派ゴシック・メタル・レーベルと印象付けたバンド。それまでの3枚におけるブラック・メタル寄りなアグレッシヴなサウンドの中に、流麗なメロディ溢れるサウンドも実に素晴らしいのですが、3rd『OPHIDIAN WHEEL』から加入した女性Voがより多く導入され、普通声もより多用し、音楽性にも幅を持たせたアルバムとなり、1stからの4枚の中では一番ゴシック・メタルらしいアルバムです。
"Underworld"のアルバム中では浮いているようなELEND的な雰囲気ものゴシックな曲は、メンバーと女性VoのNatalie嬢によるプロジェクトCHAOSTARへと受け継がれる。
ちなみに1st『MYSTIC PLACES OF DAWN』, 2nd『ΕΣΟΠΤΡΟΝ』、そして3rdも全てお薦めです。
5th『REVOLUTION DNA』の後にHOLYを離れ、HAMMERHEARTからで6th『SUMERIAN DAEMONS』をリリース後に残念ながら解散。メンバーのうちの誰だか分からないのですが、Sethという名前で、ジャケットをも多く手がけるイラストレーターとして活動中です。

THERION THELI スウェーデン出身。'96年リリース。
CELTIC FROSTに影響を受けたデス・メタル・バンドだった彼らは、初期からシンセやクワイヤ入りの楽曲をアルバム中の1曲とかではやっていたわけですが、'95年の4th『LEPACA KLIEFOTH 』においては、アルバム中の半分ぐらいで大胆にクワイヤとオーケストレーションを導入。その音楽性はもはやデス・メタルではなく、ゴシック・メタルそのもの。ただし、それも本作の予告に過ぎなかったわけで、ど派手にシンフォニックでクワイヤ入りの音楽性を完成させたのが5thの本作となる。イントロから続く"To Mega Therion"が超名曲。どっかんどっかん盛り上がる。こんなハッピーな気分になれるゴシック・メタル・ソングは他にないですよ。…って、THERIONはゴシック・メタルではないという意見は積極的に却下。本作の続く『VOVIN』では、自らが歌うことをも辞めてしまい、デス声はなしに。オペラチックなあるいはメタルなゲストVoが歌ってます。バンドはその後も基本的にはこの音楽性のまま、良質なアルバムのリリースを重ねています。ただ、"To Mega Therion"級の名曲は産まれていない…。

THEATRE OF TRAGEDY VELVET DARKNESS THEY FEAR 1996年、MASSACREよりリリース。ノルウェー出身。
デス声男性Voとソプラノ女性Voがデュエットをするという、またはソプラノ女性Voが歌うという、ゴシック・メタルならではのスタイルの基本ではないでしょうか。女性Voがひたすら美しい声で歌われていて、メタル的に考えた場合、Voが弱い!という欠点にもなるのですが、ゴシック・メタル的には、弱々しいところがより清楚でいい!と強みになるわけです。
2ndの本作は4曲でストリングをバックに入れている為、サウンドに厚みと深みが出ている。ほっほっほっほほーで知られる"Der Fanz Der Tchatten"は一度聴いたら忘れる事の出来ない名曲。
同じ路線の3rd『AEGIS』もお薦め。ただし、個人的にはサウンド深みは感じない。フォロワーがぞくぞく登場するのを後目に、バンドは4th『MUSIQUE』でエレクトリック・ゴシック路線に変更。全然メタルではない、ピコピコしたサウンドに、離れていったファンも多いと思うが、私はこれもゴシック・メタルの一環として許容。5thを最後に、Liv嬢が脱退、元THE CRESTの女性Voを迎えた新作に期待したい。一方Liv嬢は旦那のALex率いるATROCITYの全面協力の下に、LEAVES' EYESを結成している。
TIAMAT WILDHONEY 1994年、CENTURY MEDIAからリリース。スウェーデン出身。
初期から暗い中にもメロディが映えるデス・メタルをやっていた彼らが、ゴシック・メタルといえるアルバムをリリースしたのが3rd『CLOUDS』です。そして、ここで紹介する4th『WILD HONEY』において、一気にメロディが開花。
加えて重厚で、深みのあるサウンドを実現し、ゴシック・メタル界の重要バンドとしての地位を築いたのです。オレンジ色というゴシック・メタルらしくないジャケットが導くかのように、実に華やかなメロディに溢れている。また、楽曲に間がなく、アルバムと押しての流れがあるのも特徴で、聴き手をぐいぐいとその音楽世界に引き込んでくれる。その後、5th『A DEEPER KIND OF SLUMBER』では続編を作ることなく、プログレ志向のサウンドとなり、かつキャッチーな曲をも同居させている。デス声も捨てました。キャッチーな曲ははずれなしにいい曲ばっかり。5th以降がだめというのではなく、4thのパート2を決して作らないため、より本作が唯一無二の存在として、凄然と輝いている。また、本作のフォロワーも出現していないように思う。ちなみに5th以降でのお奨めは7thの『JUDAS CHRIST』。
WITHIN TEMPTATION ENTER '97年リリース。オランダ出身
前身バンドVOYAGE、CIRCLEを経て結成されたバンド。男女Voが歌うというスタイル自体、本作がリリースされた時点では新しくもなかったが、メタル的ではない女性Voの魅力をより強調している。もちろんVoのSharon嬢の優しげなソプラノ声と線が細いながらも情感的な歌唱力があってこそ、実現できたと言える。そしてサウンドのみならず、ヴィジュアル面での重要さを強く印象付けた。当事から、Sharon嬢はメタルらしからぬ、ロングドレスの衣装を身にまとっていた。元々美形なだけに当然映える。でもステージではメタルらしくヘドバンをしてしまうというギャップに驚かされ、動いている姿に釘付けとなった。"Restless"と"Pearls Of Lightがキラー・チューン。特に前者のライライラライ…はTHEATRE OF TRAGEDYのホホホホホーに匹敵する。2nd『MOTHER EARTH』, 3rd『SILENT FORCE』とリリースするにつれ、デス声や歪みのあるギター・リフを減らしていて、オーケストレーションを導入、より大仰にシンフォニックになっていき、一方ではVoを強調させている。もちろん2枚とも名盤です。てゆうか、本作よりも多くの人に聴かれてますね。

以下は近いうちに!